タワー、40億ドルを投じ日本に光通信用半導体拠点を計画
タワー・セミコンダクターは9月25日、日本でシリコンフォトニクス、SiGe、先進光学パッケージングを増強する総額約40億ドルの計画を公表した。2029年には300mm換算で月産4万5,000枚を目標とする。

2026年9月25日、タワー・セミコンダクターは、日本を大規模な光通信接続用半導体の生産拠点にするため、約40億ドルを投資する計画を示した。同社によれば、AIインフラの拡大で高まる光接続部品の需要に対応するため、シリコンフォトニクス、シリコンゲルマニウム、先進光学パッケージングの能力を拡張する。資金はタワーが30億ドル、日本の経済産業省が10億ドルを拠出する構成とされる。
対象は新潟県荒井と富山県魚津の施設で、計画は二つの段階で進められる。タワーは、工事と増産が完了した場合、日本の生産能力を2029年に300mmウエハー換算で月産4万5,000枚へ引き上げる見通しを示した。これは2025年の約40倍に当たるという。ただし、この数字は会社の目標であり、設備導入、工場改造、新棟建設、量産認定の進行を前提としている。
既存設備の転換と新工場建設
第1段階では、新潟県の休止中のFab 6を300mm対応のシリコンフォトニクスおよび先進光学パッケージング工場へ転換する。同時に、富山県魚津市近くのFab 7で、SiGe EIC(シリコンゲルマニウム電子集積回路)とSiPho PIC(シリコンフォトニクス光集積回路)の生産能力を高める。タワーは第1段階について、2027年第4四半期に本格量産への準備が整うとの見込みを示している。
第2段階はFab 7の隣接地に新たな300mm工場を建設し、SiGe EICとSiPho PICを増産する内容だ。Tom’s Hardwareは、二つの段階は並行して進められ、第2段階は2029年から業績への実質的な寄与を見込むと報じた。一方で、タワーは新工場の着工・竣工時期、装置の供給元、投資額の内訳、顧客別の生産配分を明らかにしていない。
- 荒井のFab 6を300mmのシリコンフォトニクス・先進光学パッケージング拠点に転換する。
- 魚津のFab 7でSiGe EICとSiPho PICの既存生産能力を増やす。
- Fab 7の隣接地に、新たな300mm工場を建設する。
- 2029年までに日本全体で月産4万5,000枚の300mm換算能力を目指す。
部品生産から光学エンジン組み立てへ
タワーは今回の構想を、単なるウエハー増産としては説明していない。Fab 7で電子回路と光集積回路を生産し、転換後のFab 6で先進光学パッケージングや光学エンジンの組み立てを担う体制を想定する。会社は、日本拠点がデバイス製造と光学エンジン組み立ての双方を持つことで、各施設が補完し合うと説明した。具体的な光学エンジンの製品構成や出荷先は公表されていない。
SiPho PICは光信号を扱う機能を半導体上に集積する部品、SiGe EICは電子信号を扱う回路として位置付けられる。これらを近い製造網の中で組み合わせることが計画の中心にある。ただし、実際の歩留まり、工程間の物流、顧客の採用時期、出荷能力は量産後に確認される事項であり、発表だけから供給条件を確定することはできない。
CPOは将来に向けた準備段階
タワーは、この投資が共同パッケージ光学、CPOの導入基盤になるとしている。CPOは、光学部品を演算用半導体により近い位置で統合する考え方で、高速接続における電気信号の経路を短くする狙いがある。Tom’s Hardwareによれば、タワーはCPOでインテル、TSMC、グローバルファウンドリーズが現時点で先行していると認めている。
したがって、今回確認できるのは、まずSiGe、SiPho、光学パッケージングの生産基盤を広げ、その先のCPOに備える方針である。タワーは日本でのCPO製品の投入時期、工程仕様、顧客、数量を公表していない。データセンター事業者や部品調達企業にとっては将来の供給能力を示す材料にはなるが、価格、消費電力、信頼性、実際の納期を判断できる情報はまだ限られる。
再編される日本の製造基盤
魚津のFab 7は、かつてパナソニック系の製造基盤に含まれていた。Tom’s Hardwareの整理によると、タワーは2014年、パナソニックとの合弁を通じて日本での製造拠点を確保した。パナソニックが2020年に半導体事業から退いた後、同社の持ち分はヌヴォトン・テクノロジー・ジャパンに移った。タワーは魚津の300mm施設を、65nm級SiGeと45nm級SiPhoを扱う特化型拠点へ段階的に転換してきた。
同報道によれば、2026年3月に発表され、2027年4月の完了が予定される契約では、タワーがFab 7と300mmファウンドリー事業の完全な所有権および運営権を取得する見込みだ。ヌヴォトン側は合弁会社と砺波のFab 5を取得する予定である。これは予定された取引であり、完了済みの出来事ではない。所有・運営体制の移行と、今回の増設工事の進み具合は区別して見る必要がある。
補助金と地域への意味
タワーは、日本に成熟した技術基盤と熟練した人材があることを投資理由として挙げ、約200人を新規採用する計画も示した。経済産業省の10億ドルの支援は、総投資の約4分の1に当たる。もっとも、補助金の支給条件、職種別・地域別の雇用配分、電力や用地の詳細、地元企業への発注規模については、今回の公表資料では示されていない。
富山と新潟にとっては、既存工場を活用しながら光通信向けの製造・実装能力を積み上げる計画となる。AI向け投資が論理半導体だけでなく、光接続、特殊プロセス、パッケージングにも及ぶことを示す事例でもある。地域の部材、装置、保守、人材育成への影響は今後の具体的な発注や採用で見えてくる。2027年第4四半期と2029年という二つの節目を守れるかが、計画の実効性を測る重要な点になる。



