フランス議会、汎用AIの事前承認と全世界売上の7%罰金を提案
フランス国民議会の70人の議員が法案3149を提出し、商用汎用AIモデルの事前承認と世界売上高の最大7%の罰金を求めている。この提案は2026年9月25日現在、経済委員会で審議中である。

2026年9月15日、ラ・フランス・アンスミーズ(LFI)議員団のレネ・ピラトら70名の議員が、フランス国民議会に法案3149を提出した。この草案は、商用汎用人工知能モデルとEU AI法の付録IIIに既に列挙された高リスクAIシステムに対し、事前承認制度を設けることを目的としている。
この提案は明確に野党の措置であり、まだ法律として成立していない。2026年9月25日までに、経済委員会に付託されたのみで、投票が行われる前に議論や修正が行われる段階にある。
草案の主な特徴
法案が採択されれば、18名で構成される国家人工知能機関(ANIA)が新制度の運営を担当する。ANIAは、対象となるAIシステムに対し、承認の付与、停止、撤回の権限を持つ。
「実質的変更」とは、システムのコンプライアンス状況またはリスクプロファイルに重大な影響を与える変更を指す。このような変更があった場合、再度承認申請が必要となり、モデルが商用で継続運用できる前に当局の審査を受けなければならない。
当局の執行手段には、システムをコンプライアンスに適合させる命令、日額最大10万ユーロの罰金、システムの運用停止や承認の全面撤回が含まれる。
財政罰則と報告義務
本法案の行政罰は、企業の全世界年間売上高の最大7%に達し、EUのデジタル規制で最も厳しい制裁と同等となる。罰金は違反が判明した会計年度の売上高を基準に算定される。
金銭的罰則に加え、深刻なAI関連インシデントは48時間以内にANIAへ報告しなければならない。インシデントに個人データが含まれる場合、報告後7暦日以内にデータを削除する義務が課される。
人的監督と雇用決定
法案は、法的または重要な影響を及ぼす雇用決定をAIの出力だけで行うことを明確に禁じている。こうした決定には、資格を有する人間がAIの提案を検証したことを文書化するレビューが必須となる。
- 商用汎用AIモデルの事前承認が必要
- 実質的なコンプライアンス変更ごとに承認更新
- 18名構成の国家人工知能機関(ANIA)創設
- 日額最大10万ユーロ、全世界売上の7%まで罰金
- インシデントは48時間以内に報告、データは7日以内に削除
未解決の課題として、EU AI法に基づく汎用モデルの義務に対する欧州委員会の専属監督との重複が挙げられる。フランスの草案は、国内の事前承認がEU全体の枠組みとどのように共存するかを明示しておらず、法的矛盾の可能性が指摘されている。
フランスでAIサービスを提供する日本語圏の組織にとって、この草案は国家レベルでの監督が強化される兆候と捉えられる。企業はまずAI法に基づくEUレベルの適合を確保し、次に汎用モデルや高リスクシステムについてフランス独自の事前承認を取得する二層のコンプライアンスプロセスを準備する必要がある。罰金は世界売上高に比例するため、財務リスクは大きい。さらに、雇用に関わるAI決定に対する人的レビューの文書化は、HR業務や内部監査手続きの変更を求められるだろう。法案はまだ提案段階だが、フランスの規制期待を全体的なコンプライアンス戦略に組み込むことが求められる。



