EU Kids Act:子ども向けソーシャルメディアとAIチャットボットの新ルール案
欧州委員会は9月14日に、15歳未満の子どもが個人アカウントを持てないようにするEU Kids Actの草案を発表した。13歳未満はソーシャルメディア利用自体が禁止され、13歳から15歳未満は保護者が管理するミニアカウントのみ許可される。また、AIチャットボットやオンラインゲーム、動画プラットフォームにも安全基準が設けられる。

欧州委員会は9月14日、EU Kids Actの草案が書面手続きで正式に採択される見通しであることを発表した。当日はウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とヘンナ・ヴィルクンネン委員が欧州議会に出席し、提案の全体像と背景について説明した。
ソーシャルメディア利用年齢の新基準
フォン・デア・ライエン委員長は、15歳未満の未成年が個人のソーシャルメディアアカウントを保有することを原則として禁じる方針を示した。さらに、13歳未満の子どもはソーシャルメディアへのアクセス自体が禁止され、13歳から15歳未満の間は保護者が設定・監督する「ミニアカウント」のみが許可される。このミニアカウントは利用時間や利用できる機能が厳格に制限され、子どもが過度にプラットフォームに依存しないよう設計されている。
AIチャットボットとオンラインゲームへの安全規制
EU Kids Actはソーシャルメディアに留まらず、AIチャットボット、オンラインゲーム、動画配信プラットフォームにも同様の安全基準を適用することを明記している。これらのサービスは、子どもが有害なコンテンツに触れたり、過度に依存したりするリスクが高いため、事業者は具体的な防護策を講じる義務が課される。
主な安全措置
- 未成年ユーザーに対する年齢確認を徹底し、偽装を防止する仕組みを導入すること
- 不審な連絡先や不適切な相手との接触を制限し、チャット機能にフィルタリングを設けること
- 無限スクロールや過度な通知といった依存性を高める機能を削除または抑制すること
- 報酬やポイントシステムの透明性を確保し、過度な誘導や課金を防止すること
これらの措置は、子どもが安全にデジタル環境を利用できるようにするだけでなく、保護者が適切に監督できる土台を提供することを目的としている。たとえば、年齢確認のプロセスは多要素認証や公式身分証明書の照合を組み合わせ、偽装アカウントの作成を技術的に困難にする。
企業への影響と手続き
DSA(デジタルサービス法)で定義された大規模プラットフォームは、子ども向け機能を提供する際に欧州委員会の事前許可を取得しなければならない。許可を得られない場合、罰金やサービス提供の制限といった制裁が科される可能性がある。したがって、事業者は自社サービスの設計段階から年齢認証や保護者コントロール機能を組み込み、コンプライアンス体制を整える必要がある。
今後の立法プロセス
EU Kids Actはまだ法令化されていない段階であり、9月17日に欧州委員会から正式に提案される予定である。その後、欧州議会での審議と加盟国間の合意形成を経て、最終的に法律として成立するまでには数か月を要すると見込まれている。
この新たな規制は、子どもたちのオンライン安全を高めると同時に、プラットフォーム事業者に対して技術的・運営的な負担を課すことになる。日本の企業やサービス提供者は、EU市場での継続的な事業展開を確保するために、年齢確認や保護者コントロール機能の実装、AIチャットボットの安全設計を早急に見直す必要がある。
日本の企業は、まず自社サービスがEU Kids Actの要件を満たしているかどうかを内部監査で確認し、年齢確認の精度や保護者向け管理ツールの有無を点検すべきである。また、AIチャットボットやゲーム内課金システムが新たな透明性基準に適合しているかを技術部門と法務部門が連携して評価し、必要に応じて機能の修正や追加を行うことが求められる。
出典
- Midday press briefing from 14/09/2026Commission européenne — service audiovisuel · 2026年9月14日
- 'Enough is enough': EU moves toward restricting social media access for under-15sEuronews · 2026年9月16日



