AI業界、トランプ氏の半導体関税を「考えうる限り最も愚かな方法」と批判
Politicoによると、ワシントンはノートパソコンやサーバーなどの完成品にまで半導体関税を拡大する可能性があり、業界団体はこれにより米国のGDPが900億ドル失われ、計画中のデータセンターの5分の1が遅延すると試算している。

トランプ政権は、最悪とも言えるタイミングで大規模な新たな半導体関税を発表しようとしている可能性があると、テクノロジー業界は懸念している。Politicoは今週、政権の計画について匿名で語ることを許された約8人の関係者の話として、米国のAIイノベーションを「破滅させかねない」と業界が懸念する幅広い新しい半導体関税が「数週間から数か月」のうちに課される可能性があると報じた。Ars Technicaが引用したPoliticoの情報筋によると、検討中の枠組みは「関税の対象となる技術製品の数を劇的に拡大し、半導体そのものだけでなく、ゲーム機やデータセンターを埋め尽くすサーバーなど、半導体を使って作られる多くの製品にも影響を及ぼす」可能性があるという。この情報を別途裏付けた韓国メディアAI Timesは、検討対象の製品にノートパソコン、ゲーム機、AIデータセンターで使われるサーバーが含まれると伝えた。
数百億ドル規模の代償
業界団体は、トランプ氏の就任以来、半導体とそれを使って作られる下流製品——場合によっては半導体を含む中古品や再生品まで——の両方に課税することは、経済に壊滅的な打撃を与えると警告してきた。コンピュータ・通信産業協会(CCIA)は6月、このような広範な関税措置により米国経済は年間約900億ドルのGDP損失を被り、2030年までに計画されているデータセンタープロジェクトの約20%が延期または中止に追い込まれると試算した。CCIAはさらに、この関税がむしろ米国外でのデータセンター建設を後押ししかねないと警告しており、これは政策の目的とは正反対の結果となる。財務長官スコット・ベセント氏宛ての5月付の書簡——約20の業界団体が連名で署名——の中で、CCIAは製品が関税を免除されなかった場合のさらなる波及効果を詳述している。
業界から消費者への警告
この書簡は、米国の家計がすでに予算面で逼迫している中で、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット、スマートウォッチ、コネクテッドデバイス、自動車といった「日常的な道具」の価格が上昇しかねず、また関税が最新のAI技術を搭載した新製品の発売を遅らせる可能性があると主張した。書簡には「消費者向けデバイスは、米国人がAI搭載ツールにアクセスするための主要な入り口だ。AIは人々が実際にそれを使えて初めて、その約束を果たすことができる——消費者をデバイス市場から締め出すような関税は、米国がまさにAIで主導権を握れる立場にあるこの瞬間に、AIの普及を遅らせることになる」と記されている。AI企業を保護するため、政権は一定の関税緩和を検討しているが、Politicoの情報筋によれば、それはおそらく外国の半導体メーカーによる米国製造業への投資と引き換えになるとみられ、この方式は商務長官ハワード・ラトニック氏が支持していると報じられている。
- CCIAの試算によると、広範な関税措置による年間GDP損失は約900億ドル。
- 2030年までに計画されているデータセンタープロジェクトのうち、延期または中止される可能性がある割合は約20%。
- Gartnerの予測によると、供給不足による価格上昇に牽引され、2026年の世界半導体売上高は1兆6000億ドルに達する見通し。
- TSMCがアリゾナ州の半導体製造施設に投じることを約束した投資額は2650億ドル。それでもAI Timesによれば、その投資が完全に稼働しても、米国が到達できる最先端半導体の生産能力は世界全体の約30%にとどまる見通し。
- AI Timesが引用する業界関係者の見立てでは、十分な国内先端半導体生産能力を構築するには最低でも5年かかるという。
批判派が指摘する「国内回帰」の計算の破綻
ラトニック氏は、国内半導体サプライチェーンの再構築を優先するため関税を広く適用したい意向だと報じられており、Politicoに情報を提供した4人の関係者によれば、同氏は企業が米国内での生産をどれだけ約束するかに応じて、一定量の半導体を無関税で輸入できるようにする方向で、国によって異なる税率を適用する可能性もあるという。批判派は、この仕組みでは無関税の供給量と業界が実際に必要とする量との間に大きな差が生じると指摘する。「彼らが無関税で認めようとしている量は、ハイパースケーラーだけでも足りず、業界の他の部分にはまったく足りない」とある業界関係者はPoliticoに語った。「それは物理的にここでは買えない半導体だ。なぜならその生産能力がまだ存在しないからだ。計算が、単純に成り立っていない。」第一次トランプ政権で勤務した経験を持つテクノロジー業界の関係者は、より率直にこう述べた。「これはAIにおける米国の優位性を追求するうえで、考えうる限り最も愚かなやり方かもしれない。スタートラインで自分の足を引っかけるようなものだ。」ここ数週間、業界と商務省当局者との協議は「悪い方向に向かっている」と報じられており、その一方でロビー活動は激化している。AI Timesは、企業各社が特に、1月に発表された先進AIアクセラレーターへの25%の当初関税で認められたデータセンター、研究開発、スタートアップ、消費者向け製品への免除を維持するよう働きかけていると伝えている。
米国のプロバイダーから調達するクラウドインフラやノートパソコン、データセンターを動かすサーバーなど、AIハードウェアに依存する日本企業にとって、この対立は米国の国境をはるかに超えて重要な意味を持つ。半導体、あるいはそれを使って作られる完成機器を値上げするような関税は、世界的なサプライチェーンを通じて波及し、米国のベンダーから調達した機器や、米国製の半導体を使って作られた機器は、ワシントンが政策を最終決定するかなり前から値上がりする可能性がある。この問題に絡む金額の大きさ、そして「国内回帰」の計算をめぐって米国当局者自身の間でこれほど意見が割れていることは、この対立が決着からほど遠いことを示しており、その結末は米国内にとどまらず、AIハードウェアの価格を左右することになるだろう。
出典
- AI industry says Trump plans to tax chips in the "single dumbest way imaginable"Ars Technica · 2026年8月27日
- 미국, 반도체 2차 관세 검토…노트북·서버 등 완제품까지 포함하나AI타임스 (AI Times) · 2026年8月27日



