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EPA、データセンターの大気汚染許可における市民の意見公募を撤廃へ

トランプ政権下の米環境保護庁(EPA)は、いわゆる『マイナー発生源』への大気汚染許可を出す前に州が市民へ通知し30日間の意見公募期間を設ける連邦の義務付けを撤廃しようとしている。この区分にはAIデータセンターの発電機の多くが含まれる。14州の司法長官と約200の団体がこれに反対している。

nullbot 編集部公開日 2026年8月29日約 4 分で読めます出典 (2)
夕暮れ時に排出物を空へ放出する工業用煙突
Weston Woodbury · CC BY 3.0 · Wikimedia Commons

米環境保護庁(EPA)は、特定の産業施設が大気汚染物質の排出許可を得る前に、公的な通知と意見公募期間を義務付けている連邦規則を撤廃しようとしている。この提案が対象とするのは、1970年代から続く「新規発生源審査(New Source Review)」制度のもとで発行される、いわゆる「マイナー発生源」許可だ。この制度は埋立地、製紙工場、製鉄所、クリーニング工場、発電所の拡張などを対象としており、近年ではAIデータセンターを支える巨大なディーゼル発電機やガスタービンも含まれるようになっている。

1970年代から続く連邦の保護措置

現行の規則では、企業がマイナー発生源の大気許可を申請する際、審査を担当する州や地方の機関は近隣住民に通知し、許可を出す前に30日間の公的な意見公募期間を設けなければならない。EPAは7月、この連邦の義務を撤廃し、判断を各州に委ねる方針を発表した。各州は市民に通知するかどうかさえ自由に決められるようになる。EPA長官のリー・ゼルディン氏は計画発表の声明で「問題や市民に最も近い州や地方の当局こそが、可能な限り許可プロセスの決定を担うべきであり、ワシントンではない」と述べ、これを「不要で過重な官僚的手続き」の削減だと説明した。EPAは、マイナー発生源は「排出量が比較的少なく、環境への影響も限定的」だと主張している。

すでに争いの中心にあるデータセンター

AIデータセンターが全米で急増するなか、新規発生源審査は施設そのものだけでなく、それらに電力を供給する発電所やバックアップ発電機をめぐっても対立の火種となっている。テネシー州メンフィスにあるxAIの巨大データセンター「Colossus 1」は2025年、マイナー発生源許可を申請した。地元の保健当局が通知を公表すると、公聴会が開かれ、数千件の意見が寄せられた。南部環境法センター(SELC)と全米黒人地位向上協会(NAACP)は同年、xAIが無許可でガスタービンを設置したとして、それぞれ別個に提訴すると警告した。カリフォルニア州ギルロイでは、先月アマゾンのデータセンターの建設が始まったが、多くの住民はそれを知らなかった。数年にわたる承認プロセスの結果、公的な意見公募期間はすでに2年前に終了していたためだ。

州や保健団体が反発

  • 14州の司法長官と3都市の当局者が、EPAの提案に反対する共同書簡に署名した
  • SELCを含む約200の保健・環境団体が、EPAに計画の撤回を求める意見を提出した
  • 意見公募期間の締め切りまでに4900件を超える意見が寄せられ、EPAは現在も審査中だとしている
  • ハーバード大学公衆衛生大学院の分析によると、バージニア州ラウドン郡にあるVantageのデータセンターは、年間5300万〜9900万ドルの健康被害をもたらしたと推計されており、これは単一施設に帰せられる推計としては過去最大だ

EPAが認めようとしているのは、これらすべての施設が市民と向き合う必要もなく通過し、許可が密室で秘密裏に出されることだ。ブルドーザーが現れるまで、誰も何が起きているか分からない。

ケリー・パウエル氏、南部環境法センター上級弁護士

書簡の中で各州の司法長官らは「その名前にもかかわらず、マイナー発生源であっても健康や環境に重大な影響を及ぼしうる」とし、通知と意見公募の義務を撤廃することは「行政上の便宜を理由に、透明性と民主主義という基本的な保護を後回しにするものだ」と主張した。これに対しEPAは、各州が望めば連邦の最低基準よりも厳しい規則を維持することは引き続き可能であり、今回の変更は決定権を影響を受ける地域社会により近づけるだけだと反論している。EPA自身の提案に対する意見公募期間は先週締め切られ、4900件を超える意見が依然審査中だ。同庁によれば、規則が確定すれば1年以内に施行されるという。

日本の読者にとって何が変わるのか

日本の読者にとって、この一件は米国以外でも繰り返されうる緊張関係を示している。日本でもAIデータセンターの建設が加速するなか、AIインフラ整備を急ぐ圧力の高まりとともに、環境許可における市民への透明性という論点が、同様の形で浮上する可能性がある。今回の米国の事例は、そうした透明性が後退したときに何が失われるのかを具体的に示してもいる——住民が反応する時間を持つ前に、許可が下りてしまうということだ。今後EPAが規則を最終決定すれば、その運用実態や各州の対応が、他国の政策論議にとっても参考材料になるとみられる。

出典

  1. Trump's EPA wants to let data centers hide their air pollutionThe Verge · 2026年8月29日
  2. US gov't moves to suppress pushback on data centers by removing requirements for public input on pollution — EPA change would allow air pollution permits without publicizing themTom's Hardware · 2026年8月29日

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