Cisco と NVIDIA、Splunk AI をオンプレミスとプライベートクラウドで提供開始
Cisco は新たに Cisco AI POD for Splunk を発表し、NVIDIA のハードウェアと連携した Splunk AI のオンプレミス、プライベートクラウド、エアギャップ環境向け展開を可能にした。これにより、企業はデータ主権と機密性を保ちつつ、AI モデルの実行とエージェントの可観測性を統合できる。

Cisco は、Splunk Enterprise 向けに設計された AI POD を正式に発表した。この新しいソリューションは、Cisco Secure AI Factory に Splunk の機能を組み込む形で提供され、NVIDIA の GPU アクセラレータと Kubernetes/Red Hat OpenShift をベースとしたコンテナオーケストレーション環境を組み合わせている。Cisco のプレスリリースによれば、同 POD はオンプレミスだけでなく、プライベートクラウドや完全に隔離されたエアギャップ環境でも動作できるように事前に検証されており、企業が自社のデータ主権を保持しながら高度な AI 推論を実行できることを強調している。
新機能の概要
Cisco AI POD for Splunk は、三つの主要コンポーネントで構成されている。第一に、Cisco が提供するネットワークとストレージインフラが基盤となり、データの高速転送と安全な保存を支える。第二に、NVIDIA の最新世代 GPU が高速な推論エンジンとして機能し、数十億パラメータ規模のモデルでもリアルタイムに処理できる。第三に、Kubernetes と OpenShift がコンテナ化された AI ワークロードのデプロイ、スケーリング、監視を自動化し、運用負荷を大幅に軽減する。さらに、Splunk AI Assistant と呼ばれるインターフェースが統合されており、データエンジニアやデータサイエンティストがモデルのデプロイやモニタリングを直感的に行えるようになっている。
このプラットフォームは、Deep Time Series Model、Google の Gemma 4、OpenAI の GPT‑OSS 20B といった大規模モデルをローカル環境でホストできると Cisco は述べている。加えて、NVIDIA が提供するオープンモデル Nemotron 系列が数か月以内に追加される予定であり、ユーザーは選択肢を広げながら自社のニーズに最適なモデルを選択できる。
エージェントの可観測性拡張
Network World の報道によれば、Splunk Agent Observability が大幅に強化され、GPU 使用率やベクトルデータベースのパフォーマンス、メモリ消費、オーケストレーション状態といった詳細情報をリアルタイムで取得できるようになった。さらに、実行ガード機能が組み込まれ、モデルが事前に定義されたリソース上限やポリシーを超えて消費しないように自動的に制御できる点が評価されている。
- GPU の稼働率と温度
- ベクトル検索エンジンのレイテンシ
- コンテナのメモリ使用量
- Kubernetes のスケジューリング状態
加えて、Tokenomics と呼ばれる新機能が導入され、Claude Code、Codex、Cursor などのトークン消費をリアルタイムで測定し、予算超過を防止する仕組みが提供される。これにより、AI 活用に伴うコスト管理が可視化され、財務部門と技術部門の連携が容易になる。
プライバシーとデータ主権の観点
Network World は、ローカル展開によりデータが外部クラウドに流出しない点を強調し、顧客は自社のデータ配置、セキュリティポリシー、運用手順を完全に保持できると指摘した。一方で、ハードウェア保守やモデル更新の負担は依然として残り、完全なリスク排除やコスト削減が保証されるわけではないことも忘れてはならない。
今後のロードマップ
Cisco は、2026 年後半に Agent Launchpad のリリースを予定しており、これにより開発者はカスタムエージェントを迅速に作成できるようになるという。また、Observability Studio が OpenTelemetry の統合を支援し、Network Intelligence App がネットワークトポロジーと Splunk データを結び付ける機能を強化することで、全体的な可視性とインシデント対応能力が向上する見込みだ。
日本企業への示唆
日本の製造業や金融機関は、データ主権と高性能 AI の両立が求められる環境に直面している。本ソリューションは、社内データセンターにおいて GPU を活用した大規模モデルを安全に運用できるだけでなく、トークン消費の可視化により予算管理も容易にする。導入にあたっては、既存の Cisco インフラとの統合コスト、GPU の電力消費、モデルの更新サイクル、そしてエアギャップ環境での運用要件を総合的に評価し、長期的な保守体制を確立することが重要である。
日本国内の組織は、本製品を導入する際に、データの所在確認、暗号化ポリシーの適合性、ハードウェア保守契約の範囲、そしてトークン使用量の予算上限設定が正しく行われているかを必ずチェックし、内部監査部門と連携してリスク評価を実施すべきである。
出典
- Cisco Delivers Trusted AI at Scale Through New Splunk AdvancementsCisco · 2026年9月15日
- Cisco brings Splunk AI on premises, expands agent observability, monitors token costsNetwork World · 2026年9月15日



