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マッキンゼー警鐘、AIエージェントは同一業務で費用30倍差

2026年9月26日、マッキンゼーは、複数の手順を自律的に進めるAIエージェントで、同じ業務の実行費用が最大30倍異なり得ると指摘した。焦点はトークン単価ではなく、仕事を完了する総コストにある。

nullbot 編集部公開日 2026年9月26日約 5 分で読めます出典 (2)
ブカレストにあるマッキンゼーのオフィスが入る建物。
Jerry Michalski · CC BY-SA 2.0 · Wikimedia Commons

2026年9月26日、マッキンゼーは企業に対し、AIエージェントの利用拡大でコスト予測が難しくなっていると警告した。同じ目標を与えても、エージェントがタスクをどう分解し、どのように推論し、外部ツールを何回呼び出し、どこでやり直すかは一定ではない。この違いにより、同一タスクの実行コストが最大30倍に開く場合があるという。

論点は、AIモデルの表示価格だけでは企業の支出を説明できなくなったことだ。従来のチャットボットは、質問を受けて回答を返す比較的短い処理が中心だった。これに対しエージェントは、仕事を複数段階に分け、結果を検査し、必要なら方針を修正しながら完了まで進める。各段階で追加のモデル呼び出しとトークン消費が発生し得る。

トークン単価の低下と総支出の増加

トークン当たりの価格は下がっている。スタンフォード大学の2025年版AI Indexは、Epoch AIの分析を基に、標準的な知識・推論ベンチマークでGPT-3.5級の性能を得る照会コストが、2022年11月の100万トークン当たり20ドルから、2024年10月には0.07ドルへ低下したとした。約18カ月で280倍超の低下である。OECDも2026年7月の分析で、品質調整後のテキスト生成モデル価格が2024年1月から2026年4月までに約80%下がったと推計した。

それでも企業のAI支出は増え得る。Coforgeは経営層向け説明で、同等のAI能力を提供するトークンの単位コストが直近7カ月で約100分の1になった一方、トークン消費量は約8,000倍になったと述べた。価格低下で利用範囲が広がり、同時に業務が複雑化すれば、単価の下落は必ずしも請求額の減少につながらない。

  • トークン価格ではなく、完了した業務1件当たりの費用を測る。
  • モデル呼び出し、外部ツール、計算資源、人の確認を分けて記録する。
  • 高コストになりやすい反復処理に予算上限と警告を設定する。
  • 業務の難度に応じて複数モデルを使い分ける。

ソフトウエア開発で目立つ消費量

マッキンゼーが特に注目するのはソフトウエア開発チームだ。エージェント型ツールでコーディングを自動化する作業は、多くのトークンを必要としやすい。コード生成だけでなく、リポジトリーの読解、修正計画、テストの実行、エラー分析、再試行までを繰り返す可能性があるためだ。単発の利用料金が低く見えても、反復が積み重なれば当初想定を超える支出になり得る。

ミシガン大学、スタンフォード大学、All Hands AI、Google DeepMind、Microsoft AI、MITの研究者による2026年のワーキングペーパーは、エージェント型コーディングのタスクが、比較対象となったコード推論・コードチャットのタスクより約1,000倍のトークンを消費したと報告した。同じタスクを走らせても、総トークン消費が最大30倍異なる例も確認された。マッキンゼーの警告は、こうした実行経路ごとのばらつきとも整合する。

予算超過は導入後の管理課題になっている

マッキンゼーの2026年AI調査では、回答組織のおよそ3分の1が技術・通信予算の10%超をAIに投じ、60%が翌年にAI支出を増やす計画だと答えた。約5分の1は、AI関連支出が運営コストを圧迫しているとした。さらに、5業種の有資格回答者75人を対象とした2026年5月の企業AI FinOps調査では、93%がAI予算を超過したと回答している。

これらの調査結果は、すべての企業が同じ規模で予算を超えることを意味しない。個別案件の投資対効果を直接示すものでもない。ただし、実験や単純な対話機能から、複数段階の業務を担う仕組みへ移るほど、財務管理が重要になるという傾向は読み取れる。マッキンゼーは今後12カ月で、エージェント型AIの価値と費用をどう測るかが重要な経営課題になるとみている。

評価単位は「仕事を終えるまでの経済性」

Coforgeは、トークン数だけでAIの経済性を判断すべきではないと主張する。より有用なのは、定義した仕事を終えるまでにいくらかかり、その成果がどの程度の価値を生んだかという「業務単位のコスト」だ。この計算には、モデル利用、トークン、計算資源、オーケストレーション、人による監督を含める必要がある。Gartnerもこの状況を「推論のパラドックス」と呼び、エージェント型推論モデルへの振り分けは、基本的なチャット対話より少なくとも5倍の提供側推論費用につながり得るとしている。

Gartnerの2026年8月の分析は、エージェント型ワークフロー1件当たりの推論コストが2028年までに5倍超へ増えると予測する。ただしこれは予測であり、実費はモデルの選択、タスク設計、再試行回数、接続するツール、管理方法で左右される。モデル価格の低下だけを根拠に適用範囲を広げれば、どの工程がコスト増の原因なのか把握しにくくなる。

複数モデルの使い分けが選択肢に

オープンウェイトモデルの利用拡大は、費用構造を変える可能性がある。オープンウェイトとは、ライセンス条件に従って組織が訓練済みパラメーターを取得し、自ら運用できるモデルを指す。ただし、訓練データや訓練工程などが公開されているとは限らず、完全なオープンソースと同義ではない。Coforgeは、観測したプラットフォームでオープンウェイトモデルがトークン消費の約35%を占め、2025年初めの約11〜12%から増えたと述べた。

日本企業にとっては、特定のモデルや製品を一律に選ぶより、調達と運用の段階で比較可能な業務指標を整えることが実務的だ。コード支援、文書処理、顧客対応といった用途を検証可能な単位に分け、品質、完了時間、人の介入、総コストを併せて確認する。AI支出が目に見える運営費になるなか、トークン単価ではなく、完了した仕事の費用と価値でエージェントを管理できるかが問われる。

出典

  1. 麥肯錫警告:代理式 AI 成本難估算,同任務執行成本可差到 30 倍 | TechNews 科技新報finance.technews.tw
  2. The price of AI is falling; why are enterprises still spending more? Explained - The Hinduthehindu.com

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