Anthropic創業者、IPO前に投票権51%超を要求
Anthropicは上場前に、CEOダリオ・アモデイを含む7人の共同創業者に投票権の過半数を付与する特別株式の承認を株主に求めています。

Anthropicが提案する新株式クラスの概要
TechCrunchとThe Next Webが報じたところによると、Anthropicは上場直前に特別な株式クラスを設け、7名の共同創業者に対して企業全体の議決権の過半数に相当する50.1%を付与する計画を株主に提示しています。この構造は、IPO後も創業者が実質的な支配権を保持できるように設計されたものです。
提案書では、少なくとも3名の創業者が最低限の株式保有を継続する限り、支配権は維持されると記されていますが、具体的な保有比率や保有期間の詳細は公表されていません。
投票権の配分と特別株の性質
現在、各創業者はAnthropicの普通株式を約2%ずつ保有しています。新たに設定される特別株は、経済的所有権や配当権利を増やすものではなく、純粋に投票権のみを強化する仕組みです。そのため、追加の金銭的利益は伴わず、意思決定における影響力だけが拡大します。
長期利益信託(Long‑Term Benefit Trust)は、すでに取締役構成に影響を与えており、今回の新体制でも多数の取締役を指名し続けることが想定されています。これにより、創業者の戦略的方向性が取締役会を通じて一貫して反映される見込みです。
取締役会の構造変化
取締役会は創業者の席を現在の2席から3席へと拡大します。同時に、従業員向けに新たな株式クラスが導入され、投票が同点になった場合にそのクラスがブレーク権を行使できるようになります。この仕組みは、創業者支配と他ステークホルダーとのバランスを取るために設計されています。
- 特別株は投票権のみ付与
- 創業者は投票権51%超を保持
- 3人以上の創業者が最低保有を維持すれば支配は継続
- 長期利益信託が多数の取締役を指名
このガバナンスモデルは、過去にPalantir、Meta、Snapといった企業が採用した創業者支配型に類似しており、公開市場で多数の株式が流通していても内部関係者が決定的な影響力を保持し続ける構造です。
投資家視点でのリスク評価
投資家は議決権構造を企業統治リスクの重要指標として注視します。創業者が50.1%以上の議決権ブロックを保有すれば、普通株主は戦略的決定や合併、経営陣の交代に対する影響力が大幅に制限され、特別決議が必要になるケースが増えることが予想されます。
今回の取り決めは、支配権が単一の人物に集中せず、複数の創業者間で分散される点で稀有です。権力の集中は緩和されるものの、創業チームが長期ビジョンを主導し続けることが制度的に保証される構造となっています。
Anthropicの創業者は、自身の資産の80%を慈善活動に寄付すると公言しており、リーダーシップの倫理性に対する投資家の安心感を高める可能性があります。しかし、投票権の集中そのものは依然として市場関係者の注目を集めています。
現時点でAnthropicはこの提案を公式に確認しておらず、詳細は報道段階に留まっています。株主が承認すれば、同社は創業者側に有利なガバナンスモデルでIPOを進めることになるでしょう。
日本の企業や提携先にとっては、取締役会が狭い創業者連合によって主導されるため、パートナーシップや合併、ジョイントベンチャーの際に早期に戦略的合意を取り付け、外部からの影響力を最小限に抑える必要があります。
出典
- Anthropic’s founders seek voting control ahead of IPOTechCrunch · 2026年9月25日
- Anthropic seeks 50.1% voting control for founders, The Information reportsThe Next Web · 2026年9月25日



