Lovable、テンセントから4億ドル調達 評価額133億ドルに
スウェーデンの「バイブコーディング」スタートアップLovableが、テンセントなどから4億ドルを調達し、評価額133億ドルを達成した。Lovableで作られたアプリの月間訪問数は9億回を超えている。

TechNodeによると、スウェーデン・ストックホルムに本社を置く「バイブコーディング」プラットフォームLovableが、シリーズCラウンドで4億ドルを調達し、評価額133億ドルを達成した。ラウンドはMenlo Venturesが主導し、EQTのScale-Up Europe Fundが共同主導。新規投資家としてテンセント、Balderton Capital、Carmignac、Kaszek Ventures、LTS Growth、World Innovation Lab、Regentが参加した。Lovable自身が発表した数字によると、2024年11月のローンチ以降、ユーザーが作成したプロジェクトは6000万件を超え、Lovableで作られたアプリの月間訪問数は9億回を超えている。
コード1行書かずにソフトウェアを作れるツール
Lovableは、プログラミング知識がない人でも自然言語でソフトウェアや業務アプリを作れる「バイブコーディング」プラットフォームだ。ローンチから1年でフォーチュン500企業の半数の従業員がLovableを試し、その比率は現在ほぼ3分の2にまで伸びたと同社は説明する。アディダス、エヌビディア、ドイツテレコムといった大企業も、社内業務ツールの構築にLovableを活用している。
今回の投資は、昨年12月に評価額6億6000万ドルで3億3000万ドルを調達したシリーズBから8カ月ぶりで、評価額はその間に倍増した。年間経常収益(ARR)は今月末までに6億ドル近くに達する見込みで、昨年12月に公表した水準の約3倍にあたる。シリーズB以降、Lovableは決済機能、SEO・AI検索ツール、Google Workspace、Microsoft 365、Salesforce、Stripe、ElevenLabsとの連携、自動セキュリティスキャン、そしてAIエージェント向けとしては初となるセキュリティ認証「AIUC-1」を追加した。
最初はただの高速プロトタイピングツールだったが、今ではチームの働き方を支える社内プロダクト構築の中核ツールになった。
テンセントが出資した理由
今回のラウンドでは地域ごとに新規投資家が加わり、投資家層が広がった。アジアからテンセントとWorld Innovation Lab、中南米からKaszek VenturesとLTS Growth、欧州からBalderton CapitalとCarmignac、米国からRegentが新たに参加した。既存投資家のAccel、Antler、CapitalG、DST Global、Evantic Capital、HubSpot Ventures、Salesforce Venturesも今回のラウンドに改めて参加した。Lovableはこの資金で従業員数を約450人に増やし、機械学習・プロダクト・インフラ・セキュリティ分野の採用に重点を置く一方、本社はストックホルムに置きつつ、ロンドン・ボストン・サンフランシスコ・ニューヨークへ組織を拡大する計画だとしている。
Lovableは実際の活用事例も公開した。英国のファッション発見アプリ「WNTD」は、創業者自身がLovableで直接サービスを構築し、月に数万ポンドの開発費を節約しながら数十万人の利用者を集め、その後300万ポンド規模の資金調達にも成功した。ブラジルのAI教育企業「Viver de IA」は、LovableでCRMや財務ツール、ウェブサイト、AI営業自動化システムまで構築し、1200社以上の顧客にサービスを提供している。米国の看護人材プラットフォーム「Nursa」は、新製品をわずか1日でLovableで作り上げ、200人を超える全従業員が使えるよう展開したと同社は説明している。
Lovableは今回の資金調達発表で今後の方向性も示した。第一に、ユーザーが望むことを事前に把握し、プロンプトなしでも必要な作業を代行する形でプロダクトをより能動的に進化させ、営業・運営・マーケティング全般で既存の業務システムとの連携を強化する。第二に、数百万人のユーザーが蓄積したデータをもとに、どの選択が実際の売上や業務改善につながるかを学習し、成功パターンを次のユーザーに還元する仕組みを作る。第三に、ストックホルムを中心軸としながらロンドン・ボストン・サンフランシスコ・ニューヨークの人員を増やし、機械学習とセキュリティ分野の人材獲得競争で先行する目標も掲げた。
- 今回のラウンド:4億ドル、評価額133億ドル(シリーズC、Menlo Ventures主導)
- 新規投資家:テンセント、Balderton Capital、Carmignac、Kaszek Ventures、LTS Growth、World Innovation Lab、Regent
- 累計プロジェクト数:2024年11月のローンチ以降6000万件超
- 月間訪問数:Lovableで作られたアプリに月9億回超
日本の開発現場にとっての意味
日本の開発者やスタートアップもLovable、Cursor、Replitといった「バイブコーディング」ツールをプロトタイプ作りに急速に取り入れてきただけに、アジアの大型資本であるテンセントが株主に加わった今回のニュースは、Lovableのアジア展開の速度を測る材料になる。国内企業や公共機関がノーコード・AIネイティブなプラットフォームの導入を検討する場合、今回新たに備えたAIUC-1のセキュリティ認証やガバナンス機能が、日本の個人情報保護法(APPI)のもとで実際に通用するのかを、プロトタイプ段階を超える前にまず確認しておく必要がある。投資家構成が変わったプラットフォームに基幹業務システムを託す前に、データの保管場所とモデルの学習方針を改めて確かめる手順が欠かせない。
出典
- Tencent Backs Lovable in $400 Million Series C at $13.3 Billion ValuationTechNode · 2026年8月13日
- We just raised $400M in Series C funding to help people run their businessesLovable · 2026年8月12日



