Aleph Alphaが78億パラメータの英独MoEモデル「Kolibri」を公開
ドイツ統一記念日に、Aleph AlphaはApache 2.0ライセンスでKolibriの全重みを公開し、262kトークンのネイティブコンテキストと最大100万トークン拡張が可能な78.1億パラメータの英独バイリンガルMoEトランスフォーマーを提供しました。

Aleph Alphaは2026年10月3日に、同社の新しいKolibriモデルの全重みセットをApache 2.0ライセンスの下で公開したことを発表しました。このタイミングはドイツの統一記念日に合わせられ、AIにおける欧州主権への同社の姿勢が強調されています。
Kolibriは英語とドイツ語の両方でネイティブに動作するMixture‑of‑Experts(MoE)トランスフォーマーです。全体で78.1億パラメータを持ちますが、1トークンあたりに活性化されるのは約34.6億パラメータのみで、計算コストを抑えつつモデル容量を維持する設計となっています。
技術仕様
このモデルは約262 000トークンのネイティブコンテキストウィンドウをサポートし、ほとんどの現行大型言語モデルを大きく上回ります。特定の用途向けには最大1 048 576トークンまで拡張可能ですが、レイテンシー上昇を防ぐため通常はより短いコンテキストを推奨しています。
MoEの効率性にもかかわらず、全重みは保存が必要です。MarkTechPostはFP8量子化時のストレージ要件を約78 GBと推定しています。このサイズは単一のNvidia H200クラスアクセラレータに収まるか、80 GBデバイス複数台に分散させて使用できます。
学習データと手法
Aleph Alphaによると、Kolibriは約20兆トークンのキュレーションデータで学習され、元のプールは200兆トークンを超えます。キュレーションデータのうち21.3%がドイツ語、6%が翻訳データであり、母語データへの重点がうかがえます。
学習パイプラインは高い耐障害性を持つよう設計されました。チェックポイントは自動で処理され、評価は約1時間ごとに実行され、ハードウェアやネットワークの障害が発生しても手動介入なしで学習が継続されました。
性能主張と規制姿勢
Aleph Alphaは、アクティブパラメータ数が少ないにもかかわらず、独自および公開ベンチマークで高い結果を示したと主張しています。ただし、これらの評価はベンダー報告であり、独立した検証が必要です。
Kolibriはドイツとフィンランドで開発・学習され、EU AI法、汎用AI実践規範、GDPR、著作権を考慮しています。オープンライセンスはアクセス障壁を下げますが、ライセンスだけでは下流利用の法的コンプライアンスは保証されません。
- 税務行政や市民サービスなどの公共部門向け
- 産業オートメーションと予知保全
- 自動車設計・シミュレーション・コンプライアンスチェック
- 半導体チップ設計の検証
- 航空宇宙システムのエンジニアリングと安全性分析
同社はKolibriを規制が厳しいミッションクリティカルなワークロード向けの主権的ソリューションとして位置付けています。オンプレミスでの展開を可能にすることで、組織はAIスタック全体を完全に管理でき、欧州のデータ主権政策と合致します。
日本の企業にとって、Kolibriの英独バイリンガル機能は翻訳パイプラインを介さずにドイツ語データへ直接アクセスできる利点があります。大容量のネイティブコンテキストウィンドウにより、長文の契約書や技術文書、コードベースを一括処理でき、コンプライアンス審査や技術監査の効率化が期待されます。また、オープンウェイトモデルであるため、社内でのファインチューニングやアーキテクチャ監査が可能で、外部クラウドプロバイダーへの依存を回避しつつガバナンス要件に合わせたAI挙動の調整が行えます。
出典
- Kolibri Has Landed: A Sovereign Open-Weight ModelAleph Alpha · 2026年10月3日
- Aleph Alpha Releases Kolibri, a 78.1B Open-Weight English-German MoE ModelMarkTechPost · 2026年10月4日



