YouTubeがプロンプト対応カスタムフィードやGemini搭載動画編集ツールを発表
YouTubeは年次イベント「Made on YouTube」において、プロンプト入力によるカスタムフィード、Geminiを活用した動画編集、リアルタイムのライブ自動吹き替えなどの新機能を発表しました。

Googleは、毎年恒例のイベント「Made on YouTube」において、視聴者のコンテンツ消費体験とクリエイターの制作ワークフローの双方を再定義することを目的とした、人工知能ツール群およびインターフェースの刷新を発表しました。毎日2,000万本以上の動画がプラットフォームにアップロードされる中、この動画配信サービスは、コンテンツの発見性の向上、ポストプロダクションの自動化、そして国際市場におけるデジタルアイデンティティの保護を目的として、GoogleのGeminiアーキテクチャをはじめとする生成AIモデルの導入を急速に進めています。
パーソナライズされたフィードと対話型検索機能
視聴者側に向けて、YouTubeは「カスタムフィード」の導入によりホームページ上の検索体験を根本から見直しています。ユーザーは、「通勤中に聴く気の利いたポッドキャスト」や「深夜向けの長編ドキュメンタリー」など、自然言語によるプロンプトを入力するだけで、好みに合わせたインターフェースタブを生成できるようになります。システムは動的な動画リストを構築し、視聴者は説明文の調整や特定候補の評価を行うことで、内容をさらに絞り込むことが可能です。Googleによると、ユーザーはウェブ、モバイル、コネクテッドTVの各インターフェース間で複数のカスタムフィードを保存できるようになり、まずは米国から順次提供が開始される予定です。
さらに同プラットフォームは、「Ask YouTube」および「YouTube Music」を通じて対話型機能を拡張しています。「Ask YouTube」機能は、製品レビュー動画において双方向の役割を果たし、視聴者が音声またはテキストのプロンプトを使って追加の製品仕様や詳細な比較表を要求できるようにします。YouTube Music内では、対話型ツール「Ask Music」がインターフェース上部に再配置され、プレイリストの編成、アーティスト情報の提供、動的なレコメンデーションを実行します。加えて、有料のYouTube Music登録者は、推奨番組をまとめたAI生成の週間音声ダイジェスト「Your Podcast Lineup」を利用できるようになります。コミュニティ機能の拡張としては、通常の動画およびYouTube Shortsのコメント欄におけるアニメーションGIFのサポートや、米国、英国、シンガポール、ブラジル、一部の欧州市場におけるダイレクトメッセージグループチャットの展開が含まれます。
制作ワークフローの自動化と肖像権保護の強化
コンテンツ制作者に対しては、制作ソフトウェアに生成AI支援が直接組み込まれます。過去1年間に米国の動画クリエイターの大多数がコンテンツの制作や編集にAIツールを使用したというプラットフォームのデータに基づき、YouTubeは「YouTube Create」アプリおよびShorts内に対話型の動画編集機能を発表しました。Geminiを搭載したこの編集機能により、クリエイターは会話の間の自動カットや、テンポ向上のための映像の再構成、テキストプロンプトによる初期の粗編集の生成を行うことができ、同時にタイムラインの手動調整機能も保持されます。
視聴者維持率を最適化するため、YouTube Studioには自動動画A/Bテスト機能が統合され、クリエイターは同一動画の最大3つの異なる編集版を同時に公開して検証できるようになります。テスト機能に加え、新しい「Ask Studio」アシスタントは、構図やテンポに関する制作フィードバックの提供、チャンネル独自のサムネイル生成、過去の動画アーカイブの分析によるパフォーマンス最適化の提案を行います。また、「Ask Studio」はブランドとのタイアップ案件に対するプロアクティブな企画書や返答の作成支援も行います。
同時に、YouTubeは無断でのデジタルクローン作成に対抗するためのモバイルファーストの肖像保護セーフガードを発表しました。このシステムは顔認識アルゴリズムと音声検出を組み合わせ、登録されたクリエイターの外見や声と一致するコンテンツがプラットフォーム上で検出された際に通知を送り、権利者が適切な権利行使手続きを開始できるようにします。
グローバル配信向けの自動吹き替えと収益化機能
ライブ配信に関しても、国境を越えたエンゲージメントを支えるための大幅な技術アップデートが行われています。これは、ライブ配信の総視聴時間の40%がクリエイターの居住国外の視聴者によるものであるというプラットフォームの指標に対応したものです。来年初頭より、YouTubeはリアルタイムのライブ自動吹き替え機能を開始し、機械翻訳を活用して話者の音声を瞬時に外国語へ翻訳・音声化します。
さらに、プラットフォームはエコシステム全体で対話型のライブ配信システムおよび拡張された商用機能を導入します。
- 独立した配信者同士を自動的に組み合わせて共同配信を行わせるライブマッチメイキングアルゴリズム。
- 視聴者のチャット活動、デジタルギフト、Super Chatに基づいてクリエイターを順位付けするリアルタイムリーダーボード付きの「Live Showdown」競技機能。
- 年末までに35カ国へ拡大されるYouTube Shoppingアフィリエイトプログラム(国際的なAmazon連携およびローカライズされた商品タグの導入)。
- コネクテッドTV向けにショートフォームコンテンツをエピソードごとのシーズンとしてパッケージ化する専用の「Shorts Series」ツール。
企業および組織にとっての実務的な影響
企業の広報チーム、メディアパブリッシャー、商業ブランドにとって、今回発表された一連の機能はデジタル動画戦略を多角的に変革するものです。プロンプトに基づくカスタムフィードの登場により、組織は従来のキーワード最適化や静的メタデータのみに依存することができなくなります。コンテンツ配信戦略は文脈に応じた対話型の検索クエリに適応する必要があり、ユーザーごとにカスタマイズされた専用フィード内に表示されるためには、より豊かなコンテクストの整合性が求められます。
さらに、ネイティブな多変量動画A/Bテストと自動ライブ翻訳の提供により、グローバルな企業コミュニケーションにおける技術的障壁が大幅に低減されます。マーケティング部門は外部のサードパーティ製ソフトウェアを使用することなく複数の動画バリエーションを大規模に検証でき、ライブ自動吹き替えにより、多国籍企業は高額な多言語翻訳インフラを別途手配することなく、企業発表会、新製品発表、投資家向けイベントを世界中の視聴者に届けることが可能になります。ただし、クリエイティブチームはAIが提案する動画編集を監視するための厳格な編集ガバナンスを確立し、自動生成されるカット割りやアルゴリズムによるサムネイルが企業のブランド基準や正確性のガイドラインに厳密に準拠していることを確認する必要があります。
出典
- YouTube promises custom feeds and a lot more AI later this yearArs Technica · 2026年9月23日
- Innovation for the YouTube Era: What’s new for viewers and creatorsYouTube · 2026年9月23日



