アリババが新版Qoderを発表、誰でも使えるAIエージェント作業台に
アリババは8月27日、コーディング機能を核とするAIツールQoderを刷新し、誰でも使えるエージェント型ワークベンチとして発表した。自然言語で目標を伝えるだけで、開発やプロトタイプ制作、データ処理までエージェントが担う。

アリババは2026年8月27日、これまで開発者向けだったAIコーディングツールQoderを刷新し、コーディング能力を核としながらも「誰もが使えるエージェント型ワークベンチ」として発表した。新しいユーザーインターフェースはよりシンプルでタスク中心の設計になっており、ユーザーはコードから作業を始める必要はない。自然言語で達成したい目標を伝えるだけで、Qoderがコーディングやツール活用の能力を呼び出し、開発、プロトタイプ制作、データ処理などのタスクを完了させる。
コーディングツールから誰もが使えるワークベンチへ
新しいQoderは、この1年間積み重ねてきたエージェント実行基盤「Agent Harness」の技術を土台に、Qwen3.8-Maxを含む複数の最先端モデルを内蔵している。Auto機能はタスクの性質に応じて、精度・速度・コストのバランスを見ながら最適なモデルを自動的に選ぶ仕組みで、ユーザーが手動でモデルを選ぶ必要はない。エージェントを実際のプロジェクト環境に根ざした形で動かすため、Qoderは現在40以上のコネクタ、70以上のプラグイン、2万件を超えるスキルに対応し、コードリポジトリやプロジェクト管理ツール、クラウドサービス、社内システムをAIワークフローに直接組み込めるようになった。
シナリオに応じて、Qoderはプログラミングモードと汎用モードの2つを用意している。プログラミングモードは開発者やコード関連のタスクに適し、汎用モードはコードを直接扱わないより幅広いユーザー層に向けたもので、Qoderのコーディング・ツール能力を借りてタスクを完了できる。この汎用モードこそが、今回アリババが打ち出す「誰もが使える」という転換を体現している。
Plan、Goal、サイドタスク:長時間の作業をどう管理するか
長期間かつ複雑なタスクに対応するため、Qoderは3つの補完的な仕組みを追加した。Planは実行前に要件・方針・手順を整理し、エージェントが動き出す前にユーザーが全体像を把握できるようにする。Goalは明確な目標を軸に実行を継続しながら、途中経過を随時検証し、タスクが目標からずれるのを防ぐ。サイドタスクは、本筋の作業を中断することなく、途中で発生した細部や派生的な問題を処理する役割を担う。
- コードリポジトリ、プロジェクト管理、クラウドサービス、社内ツールをつなぐ40以上のコネクタ
- エージェントが呼び出せる70以上のプラグインと2万件超のスキル
- Qwen3.8-Maxを含む複数の最先端モデルをAuto機能が自動調整
- 開発者向けのプログラミングモードと、それ以外の人向けの汎用モード
- 長期・複雑なタスクを構造化するPlan、Goal、サイドタスク
デスクトップペットとリアルタイム音声で利用のハードルを下げる
インタラクション面では、新しいQoderにデスクトップペットとリアルタイム音声機能が加わった。ユーザーは音声でタスクを開始・追跡でき、いつでも実行状況を確認したり、調整したり、操作を引き継いだりできる。さらに、簡易メモ機能、音声録音による議事録作成、リアルタイムの音声ディスカッション機能も用意されている。アリババが示す具体例では、ユーザーが音声で「まずこのモジュールのリファクタリング計画を分析して」と伝えると、Qoderがプロジェクトの文脈をもとに計画を作成する。ユーザーが方向性を確認し、続けて音声で「キャッシュを追加して」といった要件を加えると、エージェントは実行と検証を続ける。この一連のやり取りの中で、ユーザーは会話しながら随時指示を調整でき、毎回完全な指示文を組み立て直す必要はない。アリババはこれを、専門知識のないユーザーの利用ハードルを下げるための重要な設計だと位置づけている。
Qoderの製品ラインナップは拡大し、今回の新しい汎用版Qoder、Qoder IDE、Qoder CLI、Qoder JetBrainsプラグイン、Qoderモバイル版、「デジタル従業員」製品のQoderWake、そして企業向けのQoder Cloud Agentsまで揃った。2025年8月のグローバル展開以来、Qoderは世界で600万人超のユーザーと10万社を超える企業顧客に利用されているとしており、この実績が今回の「誰もが使える」への戦略転換を裏付けている。
Cursor、Claude Code、Devinに対する中国発のエージェント型コーディング
この1年、CursorやGitHub Copilot、AnthropicのClaude Code、CognitionのDevinといった欧米発のツールが、単なるコード補完を超えて複数の工程を自律的にこなす「エージェント型コーディング」を、応用AIで最も競争が激しい分野の一つに押し上げてきた。Qoderも、Agent Harness、自律実行、継続的な検証という似た戦略を採るが、今回アリババが明確に賭けているのは、自然言語と音声によって、これまでエンジニアに限られていたエージェント型コーディングの能力を、非技術系のユーザーにまで広げることだ。これによりQoderの競争領域は、開発者向けツール市場にとどまらず、より広い企業向け生産性ソフトウェア市場へと広がることになる。
日本の技術チームにとって、この刷新が持つ意味は二面性がある。一方で、汎用モードが実際に機能すれば、プロダクトマネージャーや運用、マーケティング担当者が開発者の手を借りずに自らプロトタイプを作ったり、データを処理したりできるようになり、社内の対応スピードが上がる可能性がある。他方で、非技術系のユーザーがコードリポジトリの変更や社内システムへのアクセスをエージェント経由で行えるようになる以上、誰が承認し、誰が監督し、どうセキュリティを担保するのかというアクセス権限とコードレビューの体制を早急に見直す必要が出てくる。これはツール選定の問題であると同時に、ガバナンスの課題でもある。
出典
- 阿里发布全新Qoder,面向所有人的智能体工作台来了雷峰网 (Leiphone) · 2026年8月27日
- 全新Qoder登场!阿里推出面向所有人的智能体工作台快科技 (Mydrivers) · 2026年8月27日



