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社会と活用フランス

生成AI活用、社員が企業のガバナンスを追い越す仏調査

フランスでは社員の59%がすでに職場で生成AIを利用する一方、43%は何の支援も受けていない。2026年の2つの調査が、企業統治が現場の速度に追いついていない実態を示した。

nullbot 編集部公開日 2026年9月2日約 5 分で読めます出典 (2)
モダンなオフィス空間でノートパソコンを使って働く人
Shixart1985 · CC BY 2.0 · Wikimedia Commons

フランスでは、生成AIが企業側の統制の整備が追いつかないほどの速さで日常業務に浸透している。Great Place To Workが発表した「Great Insights 2026」調査によると、社員の59%がすでに仕事で生成AIを利用しており、この割合は管理職では71%、35歳未満では74%に達する。ただしこの普及は依然として大部分が非公式なもので、多くの社員は自分自身のツールやプロンプトを使い、上司の目の届かないところで一人で試行錯誤している。人事ソフト企業Factorialのためにオピニオンウェイ(OpinionWay)がフランスのオフィスワーカー1028人を対象に実施した2つ目の調査も、この実態を裏付けさらに掘り下げている。この変化の規模は、社員自身にとっても雇用主にとっても予想外のものだった。

変化を牽引する若手世代

2026年1月21日から27日にかけて実施されたオピニオンウェイ・ファクトリアル調査によると、オフィスワーカーの42%が、現在のAI利用の広がりは1年前には「想像もできなかった」と回答している。特に若手社員でこの変化は顕著だ。35歳未満の60%が、これほどまでにツールが日常に浸透するとは予想していなかったと答え、そのうち45%は現在、業務の主要な部分を機械に委ねている。この世代にとってAIはもはや選択肢ではなく、不可欠な支えとなっている。35歳未満の45%が「AIがなければ効率が大幅に下がる」と回答した一方、全社員の平均ではその割合はわずか24%にとどまる。

懸念される統治の空白

こうした個人レベルでの浸透速度は、企業側をはるかに上回っている。Great Place To Workによると、社員の43%が「AIについて何の支援も受けていない」と回答しており、支援体制がある場合でも極めて限定的だ。企業が承認したツールを利用できる社員はわずか25%、研修を受けた社員は18%、倫理面の啓発を受けた社員は14%にとどまる。オピニオンウェイの調査はさらに踏み込む。オフィスワーカーの56%が、自社は明確なルールや枠組みを示さず「自分たちで何とかする」しかない状況だと感じている。この放置されているという感覚は大企業ほど強く、中堅企業では61%、大企業グループでは58%に達する。この空白は、データ漏えいや制御されない利用という現実的なリスクに企業をさらしており、専門家はこれを「シャドーAI(shadow AI)」と呼ぶ。

企業は今、すでに起きていることの主導権を取り戻そうと、シャドーAIを追いかける立場になっている。

ミック・レヴィ(Mick Levy)、オレンジ・ビジネス 戦略・イノベーション担当ディレクター
  • 社員の26%(35歳未満では47%)が、大部分がAIによって生成されたコンテンツを自分自身の成果物として提示している
  • 22%が、実際には機械が行った業務で称賛を受けた際に気まずさや恥ずかしさを感じたことがあり、この割合は若手社員ではほぼ倍増して41%に達する
  • 23%が、あるアイデアが本当に自分から出たものなのか、AIから出たものなのか分からなくなっている
  • 41%が、面倒な作業で節約した時間が、AIの回答の確認や骨の折れる「プロンプト作成」で再び失われるという『やじろべえ効果』を実感している
  • 24%が、実際の業務を前に進めるのではなく、AIの回答の手直しに時間をかけすぎていると認めている

体制整備に乗り出す企業も

こうしたギャップを前に、一部の企業は主導権を取り戻そうと動いている。デロイト(Deloitte)は、市場の基盤モデルをベースにしながらも独自のガードレールを備えた社内ツール「Deloitte Chat」を導入し、法務、監査、インタビューの文字起こしなど、業務領域ごとに特化したAIも併用している。Anthropicと結んだグローバルパートナーシップにより、グループの社員へClaudeを段階的に展開していく計画だ。同社はフランス国内の社員の90%以上に責任ある利用に関する研修をすでに実施したとしており、管理職をチームのAI活用状況を監督する最前線に据えている。ミック・レヴィ氏によれば、本当の課題は技術ではなく組織にある。ガバナンスを確立し、業務プロセスを一から見直し、何を自動化するかを見極めなければ、AIによって生まれた時間の余裕は、余計なメールやコンテンツからなる「新しいプレゼンティーズム」に消えてしまいかねない。

日本企業にとって何を意味するか

フランスの状況は特殊な事例ではない。生成AIが職場に浸透した場所であればどこでも、個人レベルの利用と企業統治との同じギャップが現れており、日本企業も例外ではない。どの企業にとっても、これはもはや人事部門だけの細部の問題ではなく、差し迫った運用リスクである。承認済みツール、研修、機密データに対する防御策といった明確な社内方針がなければ、「シャドーAI」はデフォルトで定着し、具体的な結果をもたらす。機密情報が一般消費者向けサービスに流出したり、未検証のコンテンツに基づいて意思決定が行われたり、本当に人間が行った仕事の評価をめぐって社内に緊張が生じたりする。逆に、デロイトのように統制されたツール、継続的な研修、積極的に関与する管理職といった体制を早期に整えた組織は、分散した個人利用を、統制の効いた集団的な生産性向上の力に転換できる。これは中小企業にも大企業にも当てはまる課題であり、企業におけるAI活用の体制整備が優先課題となりつつある今、エージェント型AIが単なる文章生成にとどまらず、業務タスク全体を自律的に実行しようとしている局面だからこそ重要性を増している。

出典

  1. L'IA au travail : les salariés accélèrent, les entreprises suivent ?Great Place to Work France · 2026年6月5日
  2. IA au bureau : Vers une nouvelle réalité professionnelleGPO Magazine · 2026年2月12日

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