Meta、より自律的なエージェント志向のMuse Spark 1.3を発表
Metaがエージェント型・コーディング向けモデルを刷新。長い指示への追従精度が向上し、Artificial Analysisによれば銀行業務ベンチマークで首位、タスクあたりのコストも競合より低い。

Metaは、エージェント型タスクとコーディング向けのAIモデルの新版「Muse Spark 1.3」を発表した。このモデルはすでにMuse Codeと、同社モデルを外部開発者に公開するインターフェースであるMeta Model APIで利用できる。Metaによれば、このバージョンは長く複数のステップを要するタスクをより確実にこなせるよう設計されている。オープンエンドな目標を与えられると、モデルはツールを使って情報を集め、自らの計画の欠陥を見つけ出し、道中で学んだことを記録し続ける。
モデルが「わからないこと」にどう対処するか
指示があいまいな場合、Muse Spark 1.3は推測で作業を進める代わりに、作業を中断して確認を求めることができる。自力で乗り越えられない障害に直面すると助けを求めることができ、影響の大きい行動を取る前にはユーザーに確認を求める。ユーザーは、タスクの進捗について頻繁な更新を受け取るか、システムをバックグラウンドで完了まで作業させるかを選ぶこともできる。
Metaが強調する改善点
同社は前バージョンからの複数の進歩を挙げている。長い指示への追従精度の向上、タスク全体を通じた要件・制約の維持、一つの会話内での複数の依頼への対応力向上、モデル自身が知っていること・知らないことへの認識の向上、そして結果を捏造する傾向の低下だ。コーディングについては、モデルの応答がより簡潔で効率的になったとMetaは述べている。
- 社内の比較テストで、Muse Spark 1.2と比べてツール呼び出しが約20%減少
- 同じ比較でトークン消費量が約25%減少
- 最大推論モード(「max」)は追加の安全性テストを経て初めて提供される予定で、Metaは時期を明示していない
5か月で4回目となるシリーズのモデル
ドイツのThe Decoderが、これらの数値をArtificial Analysisのベンチマークと突き合わせて報じたところによると、Muse Spark 1.3はこのシリーズにとって5か月間で4回目のリリースとなる。シリーズは4月に始まり、7月にバージョン1.1、8月に1.2が続いた。新バージョンは2段階で提供される。パートナー向けに限定プレビューされる「max」と、すでに一般提供されている「xhigh」だ。Artificial AnalysisのIntelligence Indexでは、maxが62ポイント、xhighが61ポイントを記録し、8月の57ポイント、7月の53ポイントから上昇した。
エージェント向けベンチマークで何が変わったか
模擬銀行業務シナリオでツールを操るエージェントを評価するτ³-Bench Bankingでは、maxが52%に達し、現時点でArtificial Analysisのランキング首位となっている。xhighは47%で、AnthropicのClaude Fable 5.1(max)およびGLM-5.3-Flashと同率だ。前バージョンの1.2は同テストで35%にとどまっていた。ターミナル上でのコーディングを対象とするTerminal-Bench 2.1では、xhighが80%から85%に上昇し、maxは86%に達したが、maxで91.4%を記録して首位を維持するClaude Fable 5.1にはまだ及ばない。
人間の実績を基準に較正されたEloスケールで220件の実際の専門職タスクを評価するGDPval-AA v2では、Metaはバージョンを重ねるごとに1615点から1709点、さらに1754点へと上昇した。Claude Fable 5.1(max)は1853点で依然として先行しており、この差に迫るためMuse Sparkのmax版はxhighよりも62%多い推論トークンを消費している。専門家レベルの科学問題群であるGPQA Diamondでは、Muse Sparkは90%から94%に上昇し、上位グループに入ったものの、Gemini 3.8 Flash(high、95.3%)やGrok 4.6(high、94.9%)には及ばない。研究物理学のテストであるCritPtでは18%から26%へと伸びたが、首位は依然としてGPT-5.6 Sol(max、32.3%)とClaude Fable 5.1(xhigh、31.1%)が占めている。
すべてが向上したわけではない。AA-LCRはバージョン1.2の83%から79%に低下し、AA-Omniscienceにおける事実正確性も最大3ポイント低下した。これは、モデルが不確実な場合に回答を拒否する頻度が高くなったためだ。
価格は据え置き、安全性は強化
価格面では、Metaは入力100万トークンあたり1.25ドル、出力100万トークンあたり4.25ドルという前バージョンと同じ料金を維持した。Intelligence Indexの1タスクあたりの平均コストは0.55ドルで、同指数で59ポイント以上を獲得するモデルの中では最も低い水準だ。競合は同じタスクに0.94ドルから1.23ドルを請求している。それでもMuse Spark 1.3は、1タスク0.40ドルだった1.2よりも高い。max版の価格はまだ発表されていない。同社はまた、より大規模なモデルの登場と、将来的なオープンウェイト版の提供も予告した。
安全性については、Muse Spark 1.3は敵対的な入力やプロンプトインジェクションの試みに対する耐性が向上し、行動を実行する前にそれが不可逆かどうかをより正確に評価できるようになったとMetaは述べている。そのため、最大推論モードは追加の安全性テストを経てからでなければ開放されない予定で、時期についてMetaは明らかにしていない。
エージェント型コーディングにおいて、Metaのより開かれたエコシステムとAnthropicやGoogleのクローズドなモデルとの間で選択を迫られている日本の開発者やスタートアップにとって、Muse Spark 1.3は二つの点で計算を変える。第一に、最上位モデルの中でも最安クラスのタスクあたりコストは、長時間稼働するエージェントの費用を抑える。ドルでAPI料金を支払いながら円建ての予算を管理する日本企業にとって、これは実質的な利点となる。第二に、将来的なオープンウェイト版の提供予告は、データの主権や自社インフラでの運用を重視する日本企業がすでに注目してきた選択肢を後押しする。ほとんどのベンチマークで依然として先行するClaude Fable 5.1との差は消えたわけではないが、選択が自明ではなくなる程度には縮まった。
出典
- Meta lança Muse Spark 1.3 com foco em agentes mais autônomosOlhar Digital · 2026年9月3日
- Meta schließt mit Muse Spark 1.3 zur Spitze auf, lockt mit niedrigen PreisenThe Decoder · 2026年9月2日



