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オープンモデルが追いつく速さ、時代ごとに倍加とSemiAnalysis

SemiAnalysisの分析によると、オープンウェイトモデルが最上位のクローズドモデルに追いつく時間は、AIの新しい「時代」が来るたびにおよそ半分に縮まっている——19.7カ月から、わずか4.8カ月へ。

nullbot 編集部公開日 2026年8月25日約 5 分で読めます出典 (2)
AIモデルの学習に使われるデータセンター内のGPUクラスター
division, CSIRO · CC BY 3.0 · Wikimedia Commons

オープンウェイトのAIモデルが最上位のクローズドモデルに追いつくまでの時間は、大規模言語モデル開発の新しい「時代」が来るたびにおよそ半分に縮まっている。2026年8月21日に公開されたSemiAnalysisの分析記事「Are Open Models Catching Up?」がこの傾向を指摘した。時間とともに飽和してしまう単一のベンチマーク集合ですべてのモデルを判定するのではなく、SemiAnalysisは各時代を実際に定義したベンチマークを使って、時代ごとに比較を行っている。

三つの時代、三つの追いつき時間

第一の時代、初期スケーリングの時代は2022年から2024年にかけて続いた。そのクローズドモデルの基準となったのは、2022年11月に発表されたOpenAIのGPT-3.5 Turboで、GSM8K、HumanEval、TriviaQA、MMLU-Proで評価された。最初にこれに近づいたオープンモデルはMetaのLlama-2-70Bで、複合スコアは39.9と、GPT-3.5 Turboの75.7に対してまだ大きく開いていた。この差が実際に埋まったのは、2024年7月にMetaがスコア86のLlama-3.1-405Bを発表したときで、GPT-3.5 Turboの発表から実に19.7カ月がかかっていた。

同じ時代の終盤には、DeepSeek V3が2024年12月にOpenAIのGPT-4oに追いつき、スコアは94.1対95.5とほぼ並んだ。アリババのQwen2.5-72Bも、Llama-3.1-405Bの6分の1という小さな規模——4050億ではなく720億のパラメータ——で肉薄した。同モデルは18兆トークンで事前学習されている。

第二の時代、推論の時代は2024年から2025年にかけて続いた。基準となったのは2024年9月12日に発表されたOpenAIのo1で、GPQA-Diamond、AIME 2026、SimpleQA Verified、Humanity's Last Examで評価された。DeepSeek-R1-0528は2025年5月、当初12.1ポイントあった差を埋め、目標に対してスコア78を達成した。かかった時間はわずか8.5カ月だった。

第三の時代、エージェント型の時代は2025年から現在まで続いている。基準となっているのは2025年11月に発表されたAnthropicのClaude Opus 4.5で、コーディングやコンピュータ操作といった複雑なエージェント的タスクについて、Terminal-Bench 2.1、BrowseComp-Plus、τ³-Banking、DeepSWEで評価されている。Moonshot AIが2026年4月に発表したKimi K2.6は、Claude Opus 4.5との差をわずか4.8カ月で埋めた。これはSemiAnalysisがこれまでに観測した中で最も速い追いつきだという。

追いつく時間は時代ごとに半分になっていく

  • 初期スケーリングの時代——GPT-3.5 TurboからLlama-3.1-405Bまで:19.7カ月
  • 推論の時代——o1からDeepSeek-R1-0528まで:8.5カ月
  • エージェント型の時代——Claude Opus 4.5からKimi K2.6まで:4.8カ月

三つの時代を通じて、最初のクローズドモデルと最良のオープンモデルとの当初のスコア差、そしてその差を埋めるのにかかる時間の両方が、時代ごとに小さくなり続けている。追いつく時間は新しい時代が来るたびにおおよそ半分になってきた。ただしSemiAnalysisは、この比較には現実的な限界があることも慎重に指摘している。ベンチマークは実際の業務を完全には反映しない不完全な指標であり、モデル開発者が汎用的な能力ではなく特定のベンチマークに合わせてモデルを意図的に最適化することもあり得るという。

なぜクローズド系ラボの利益を脅かすのか

オープンモデルが最先端のクローズドモデルに、はるかに少ないコストで匹敵できるようになれば、AIモデルという層そのものがコモディティ化してしまう恐れがある。これはOpenAIやAnthropicのような最先端ラボの利益にとって深刻な脅威となる。これらの企業は、価格だけでなく能力の高さこそがオープンな代替モデルに対する優位を保ってくれるはずだという賭けのもとに、莫大な資金を調達してクローズドモデルを構築してきたからだ。

より大きな競争——米中を巡る背景

GIGAZINEはSemiAnalysisの分析を伝える記事の中で、ブルームバーグが米中間のより広いAI競争についても、似た力学を独自に追っていると付け加えている。中国は生の性能面では後れを取っていても、利用量やコストの面では時に先を行くことがあるという。GIGAZINEはまた、2026年7月に複数の米国のAIスタートアップがトランプ政権に対し、中国製のオープンウェイトモデルを禁止しないよう求める公開書簡を送ったことにも触れている。これらのモデルへのアクセスは米国の開発者自身にも利益になる、というのがその主張だ。これはSemiAnalysisが描くエージェント型時代の一側面でもある。実際、エージェントの実装現場——SemiAnalysisが第三の時代の比較に用いるTerminal-Bench系のテストが評価している用途そのもの——こそ、こうしたモデル選択が最も具体的な形で問われる場所だからだ。

現在AIを導入している日本企業にとって、この傾向はベンチマークのスコアそのものを超えた意味を持つ。信頼できるオープンな代替モデルが、クローズドな基準モデルの発表から数年ではなく数カ月のうちに現れるようになったのであれば、2026年や2027年の導入を計画するチームは、予算を単一のAPIに固定してしまう前に、比較検討し交渉できるベンダーの選択肢がより広がることになる。そして、いま最上位にあるクローズドモデルが、プロジェクトが実際に稼働する頃にも変わらず並ぶもののない存在であり続けるという前提も、以前ほど当然視できなくなっている。

出典

  1. Are Open Models Catching Up?SemiAnalysis · 2026年8月21日
  2. AI分野では「オープンモデルがクローズドモデルに追いつく時間」が飛躍的に縮まっているとの指摘GIGAZINE · 2026年8月24日

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